背徳的な叙情文学

春夏秋冬の山の自然の景観とその移り変わりを、山小屋を起点に映し出している立山連峰の映像の撮り方もなかなか良かった。

山岳映画の見せ場である 『遭難と救助』も、自信満々で忠告を聞かない無謀な登山者が、気象遭難に陥るという定型的な遭難事故ではあるがきちんと物語に挿入されている。

映画『共喰い』の感想(ネット・レンタル) 2011年に芥川賞を受賞した田中慎弥の『共喰い』は、石原慎太郎に挑発的な発言を行ったことでも話題になったが、映画の全体の作風としては『ある種の家庭・男女における昭和的な暗さ』と『性愛・血縁の暴力性の暗さ』を重ね合わせたような印象が強い。

暴力と快楽が交錯する隠微なエロティシズムや背徳的な叙情文学と評することもできるが、『暴力的・犯罪的な性癖の父子間の遺伝』のようなものを匂 わせて、血縁の業とその乗り越えを強調するような物語の展開は、個人的には心理的に閉塞する重厚感はあったが、それを映画で敢えて味わい続ける意義はそれ ほど大きくないようにも感じる。

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